珍しいものを作ることについての考察

date: 2009.05.18

自社のスタッフに向けて分かっておいてほしい自分の考えをメモ。

一般的なものには必ず理由がある。


封筒の形、テニスボールの色、ティッシュの箱の形、はさみの形、Webサイトのレイアウトなど、たくさんの先人たちの知恵の結晶が「一般的」なものとして定着している。


また、一般的になって、たくさんの人がそれを「一般的」と認識することの利点もある。 例えばWebサイトの場合、下線の付いた青い文字にすることで、説明しなくてもほとんどの人がその文字をリンクだと認識することができる。
水道の蛇口も木ねじも、電球も、コンロのつまみもみんな時計回りにまわすと閉めることができるから、一般的にまわすものは時計回りが閉まる方向だという認識が生まれる。

デザインの仕事をやっていると新しいもの、珍しいものが良いという考えを持っているディレクターやデザイナーやクライアントに出会うことが多いし、自分の中にもそういった考えがある。


新しいものは新鮮だし、珍しいものは興味を持たれやすい。


Webサイトは紙媒体の広告と違って、見て読むだけじゃなく、「使う」ことや、繰り返し見ることが前提になる場合が多々ある。
そういった場合に、一般的じゃないものを作るときは、一般的なものの色・形・大きさ・配置・順番などがなぜそうなのか、その理由、その利点をちゃんと把握して、一般的じゃないものを作る危険性を考える必要がある。
そういったサイトを作るうえで目指すところは、今は珍しくても未来の「一般的」になり得るようなものだと考えている。



安易に新しい技術や珍しい手法を取り入れても、ただ珍しいだけでは、「使う」ことを前提においたプロジェクトの場合、ただの一発屋で終わってしまう。


そのためには深く考える必要があるし、常日頃アンテナを張り巡らして、たくさんのアイデアを一歩引いた目線で選別する目を養う必要がある。 たくさんの人が考え抜いたうえで今の「一般的」があるわけだから、それ以上のものを作るのはとても大変なことだと思うが、全てのものに無限の改良の余地があると思う。
MUJI AWARDの過去の受賞作品を見ていると本当にそう思わされる。

もの作りというコミュニケーションを通してユーザのことを想う愛が必要だと思う。
未来の「一般的」になり得るようなものをまだ一般的じゃないうちにやると「珍しい」というオマケがついてくるから、インパクトがあると思われたり、新しいと思われたり、いろいろとラッキー。
そういうもの作りを目指したいと思う。

たぶんプロダクトデザインの世界では当たり前のことなんだろう。

でも、短期間のキャンペーンサイトとか一回見てくれたらそれでいいものは一発屋で全然OKだと思うし、ユーザビリティーとかアクセシビリティーとか頭の固いこと言ってると面白いもの、インパクトのあるものは作れないと思うし、そういうのは大好き。
使いやすさや読みやすさよりインパクトを優先すべき場合もある。

きむら